【コラム】介護ロボットの着眼点

介護ロボットの普及を電子カルテと比べると

高齢化の進展に伴う社会課題の解決、それに新産業の育成という面でも注目される介護ロボット。

このコラムでは「介護ロボットの着眼点」と称し、私、関口が2010年にスタートさせ、現在も取り組んでいる介護ロボットの普及推進にまつわる話をお伝えします。

過去の取り組みをはじめ、現在、未来と時間軸をずらし、あるいは、メーカー、介護施設などと立場を変えながらお伝えする介護ロボット普及推進のコラムです

 

2016年5月6日(金)

介護ロボットの着眼点001:介護ロボットの普及を電子カルテと比べると

今後の介護ロボット普及を考えるに際し、「何か参考になる事例はないかな?」と考え、医療現場で導入が進んでいる電子カルテに関する普及の経過を簡単に調べてみました。電子カルテは今から20年以上前の1995年に登場しています。2000年にはさまざまなメーカーから電子カルテが販売されていました。そして、2001年に政府が「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を策定し、「2006年をめどに診療所の約6割を目指す」という普及目標を掲げました。

しかし、普及には時間を要し、2007年の『日経メディカル』の記事によると、「日本の医療機関の電子カルテ導入率は、200510月時点で病院21.1%、診療所では7.6%にとどまる」と発表されています。結局、2001年に政府が掲げた5年後の普及目標は未達成だったのです。

 

現在でも、大手では普及が進む一方、中小規模病院と既存の診療所における電子カルテの普及率はまだ3割程度だそうです。但し、『ITmedia』の電子カルテ市場調査レポートによると、新規開業時には78割、特に都市部では9割以上の診療所が電子カルテを採用する傾向にあるとのこと。つまり、地方の既存の開業医への普及に時間が掛かっているようです。

そこで、電子カルテ普及の阻害要因を調べてみると、「収入面にインセンティブがないなどの政策的な誘導が不十分であること」をはじめ、「PC操作スキル」「費用対効果」「カルテの記載方法が統一されていない」「医療情報専任者がいない」などが過去に指摘されていたようです。

このような阻害要因を踏まえ、製品の機能面の見直しはもちろんですが、電子カルテのベンダーや販売代理店がトレーニングを提供する、あるいは診療所側による医療クラークの育成による代行入力などの努力の成果として、今日の普及水準にまでたどり着いたようです。紙カルテが不要になり、院内業務の効率化が進み、患者とのコミュニケーションがスムーズになるなどのメリットが言われていても、これだけの時間を要したのです。

 

話は介護ロボットに戻りますが、普及の阻害要因は、インセンティブ、職員のリテラシー、費用対効果など電子カルテと共通するところが多くあります。これらに加えて、施設で介護ロボットの購入を決めるのは理事長や社長などの経営陣かもしれませんが、使うのは現場の職員。意思決定者と使用者が異なり、しかも、特定の介護職員だけが使うのではなく、複数の職員が使って共有する必要があります。さもないとロボットの稼働率(使用率)がとても低くなってしまいます。他にも・・・いろいろあります。

こういう点から判断すると、介護施設におけるロボットの普及スピードは、今のままでは電子カルテのそれよりも「さらに時間が掛かる可能性が高い」かもしれません。

 

次回からは、介護ロボットの過去から現在に至るまでの経過をお伝えします。

 

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