介護現場では現在、人材不足への対応や生産性向上を目的として、介護ロボットやICTの導入が急速に進んでいます。国や自治体も毎年のように多様な補助金制度を設け、普及促進に取り組んできました。売り手の企業側も、その補助金をフックに積極的なプロモーションを展開しています。
その結果、介護テクノロジーそのものは、この15年間で劇的な進歩を遂げました。
しかしその一方で、現場からは次のような声がいまだに絶えません。
実は、こうした導入後のすれ違いや形骸化という指摘は、市場の黎明期から現在に至るまでほとんど変わっていません。
私は2010年の神奈川県事業を機に、15年以上にわたりこの業界の最前線に携わってきました。介護施設、ロボットメーカー、自治体、研究機関など、あらゆるステークホルダーと深く関わる中で、当初から気づき、現在もずっと痛感していることがあります。
それは、「成果が出るか出ないかを決めるのは、ロボットやICTの性能だけではない」ということです。
テクノロジーに依存するだけではなく、受け入れる施設側にも、成果を出すために取り組むべき重要な要素が存在します。
介護テクノロジーは、ロボットやICTというツール単独で成果が期待できるものではありません。成果を出している先進的な施設(法人)には、必ず次の5つの要素が揃っています。
何のために導入するのか。「夜勤の負担を軽減したいのか」「転倒事故を減らしたいのか」「職員の定着率を高めたいのか」。
まずこういった目的を明確にしなければ、どのロボットを導入すべきかの選定基準すら決まりません。この目的達成に向けた道筋(=戦略)を描くことこそが、すべてのアプローチの起点となります。
目的に向けて、どのような段階(プロセス)を経て取り組むべきかを検討します。
さらに、現在、施設で行われている日々の業務がどのような流れになっているのか。「どこに無駄があり、どこが負担となっているのか」を見える化しなければなりません。さもないと、ツールの良し悪しだけで飛びつき、結果的に使われないリスクが高まります。
介護ロボット・ICTの真価は、職員一人の力だけでは発揮できません。施設や法人全体として取り組み、それぞれの役割を決め、改善を継続する組織体制が必要です。「理事長に言われたから仕方なく使う」のではなく、「ケアの質を高めよう」という職員のマインド育成や、壁を乗り越えるチーム力なども求められます。
新しい機器を導入しても、職員が操作方法を理解し、使いこなせなければ意味がありません。しかしそれ以前に重要なのが、「業務プロセスをどう改善していくか」というノウハウです。
業務改善のノウハウが欠如していると、せっかくのツールを最大限に活かすことができません。だからこそ、教育も不可欠な要素なのです。
そして最後に、介護ロボットやICTという「ツール」があります。ここで最も重要なのは、ツールは5つの要素の“最後の一つ”にすぎないということです。多くの施設ではいきなりツールの検討から始めてしまうことが多々ありますが、本来は①〜④の土台があって初めて、ツールが真価を発揮することになります。
私は2010年から介護ロボットの普及に携わり、自治体や国の主要な事業、有識者会議や検討委員会などに数多く関わってきました。これらの取り組みによって、国内の介護テクノロジーは着実に進化しました。
その一方で、強く感じてきた課題もあります。それは、これまでの公的支援や市場の関心が、機器の購入補助や調査業務ばかりに偏り、「施設側がテクノロジーを使いこなすための教育や運用設計」への支援が圧倒的に不足していたという事実です。
これまでの研修事業の多くは、受け身で聴くだけの講演会や、特定機器の操作説明に留まっていました。しかし、本当に現場が必要としているのは、機器の操作法の習得ではなく「自組織(自施設)の業務をどう変革するか」という本質的かつ汎用的なノウハウなのです。
例えば、「介護業務」の中には「移乗介助」「排泄介助」「見守り」「記録」「申し送り」「おむつ交換」など、多くの業務(オペレーション)が連鎖しています。
その中で、例えば、「おむつ交換」という業務を細かく分解すると、「布団移動→確認→ズボンを下ろす…」といった小さなプロセスに分けられます。
このように業務を細かく分解して初めて、「無駄な動き」「重複作業」「待ち時間」などが視覚的に明らかになります。その結果、「どこに介護テクノロジーを組み込めば最も高い効果が出るのか」が自然と明確になるのです。
だからこそ、最初の一歩として「業務プロセス改善ワークショップ」をお勧めします。
介護ロボット経営実践会では、施設の皆様を対象に、約2時間の「業務プロセス改善ワークショップ」をご用意しています。
このワークショップの目的は、その場で業務をすべて改善することではありません。現場の職員様が「課題だと感じている対象(業務)」を明確にし、それを実際に大・中・小のプロセスへ分解しながら、どこにムダが潜んでいるかを発見する『手法とノウハウ』を体験・習得していただくことです。
皆様の施設で実際に行われているリアルな業務(おむつ交換や移乗など)を1つ題材に選び、現場の動きを見える化するプロセスを一緒に実践します。
現場で今、一番「負担が大きい」「課題がある」と感じている業務を1つ絞り込みます。
絞り込んだ業務を、大・中・小のプロセスへ細かく分解していきます。
分解してプロセスを見つめ直し、「どこに無駄な動きや待ち時間があるか」を視覚的に洗い出します。
他の業務(移乗、記録など)でも、自力でこのプロセス分解を進めるための「視点」や「改善のコツ」を整理します。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| テーマ | 現場が変わる「業務プロセス改善ワークショップ」 |
| 開催形式 | リアル開催(貴法人の施設へ直接伺います) |
| 参加費 | 5万円(税別)+交通費実費 本ワークショップは、ディスカッションが中心になるため、参加される皆様の積極的なご発言をお願いしております。なお、全員がしっかりと発言できるよう、参加人数は最大15名様までを推奨しております。また、参加人数に関わらず、一律上記の料金で受講いただけます。 |
| 所要時間 | 約120分(現場の状況に合わせ最大30分まで延長可) |
| 進行スタイル | 【前半:15~20分】手法のインプット(座学) 当会が用意した実践資料をもとに、プロセスの分解手法とムダを発見するための「視点」を解説します(※受け身で聴いていただく時間です)。 【後半:約100分】完全な参加型実践(ワーク) 参加者の皆様が主役です。当会のナビゲーターが質問を投げかけ、一緒に考えながら、皆様自身の手を動かして「自社業務の見える化」を実践していただきます。 |
なお、本ワークショップでお伝えするプロセス分解は単なる「作業」ではなく、施設における業務改善(5つの要素)を本当の意味で成功させるための重要な第一歩となります。
当日はこの分解手法だけでなく、5つの要素を連動させて施設全体の業務改善を成功させるための具体的なポイントについても分かりやすく解説します。
PDF版 計9ページ
介護テクノロジーは、導入・活用すること自体が目的ではありません。現場の負担を減らし、利用者へのケアの質を高め、職員が誇りを持って働き続けられる職場をつくるための「手段」です。
そのためには、「あるべき姿」を明確にし、「現状」からそこへ到達するために、まず自組織の業務を正しく理解し、プロセスを見える化する(=今の仕事のやり方を客観的に把握する)ことからすべてが始まります。
当会では、15年以上にわたり企業と介護現場の双方の間に立ち、実証・導入支援を重ねてきた実績をもとに、現場の目線に徹底的に寄り添ったサポートを行っています。
「いきなりワークショップを依頼するのはハードルが高い」という施設様のために、まずは自力で業務プロセスの見える化に取り組める「実践ノウハウ集」を無料で進呈いたしますので、以下のフォームに必要事項をご記入のうえ、資料をご請求ください。
※本資料は、真剣に現場の業務改善を目指す介護施設・法人関係者様向けの実践テキストです。そのため、同業者様や調査目的等、施設運営に関与されていない方への配布はご遠慮いただいております。あらかじめご了承ください。
以下のフォームに必要事項をご記入の上、「送信する」ボタンを押してください。
ご入力いただいたメールアドレス宛に、2営業日以内に資料をお送りします。
なお、「送信する」ボタンを押した後、まずは「受付完了」の自動返信メールが届いているかご確認ください。
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