【コラム】介護ロボットの着眼点

ロボット市場への参入

高齢化の進展に伴う社会課題の解決、それに新産業の育成という面でも注目される介護ロボット。

このコラムでは「介護ロボットの着眼点」と称し、私、関口が2010年にスタートさせ、現在も取り組んでいる介護ロボットの普及推進にまつわる話をお伝えします。

過去の取り組みをはじめ、現在、未来と時間軸をずらし、あるいは、メーカー、介護施設などと立場を変えながらお伝えする介護ロボット普及推進のコラムです

 

2017年 6月24日(土)

介護ロボットコラム020: 施設が補助金に飛び付く前にやるべきこと

「関口さん、ウチもその通りなんです!」

この2-3カ月の間に訪問した複数の施設から同じようなことを言われました。何がその通りなのかと言えば、私が口にした「ある現象」が同じであったということです。

 

「ある現場」とは多くの施設にみられることですが、次の通りです。

つは「補助金が出る!」という情報に飛び付いて介護ロボットの導入を決めたこと。もう1つは、初めのうちは「せっかく導入したのだから介護ロボットを使おう!」と頑張るのですが、ロボットの否定面が気になり始め、そのうちにあまり使わなくなってしまったこと。

 

実は、「介護ロボットを導入・活用される方へ」のページに記載していますが、私が施設の方にお願いしていることが大きく2つあります。

 

その1つは、介護ロボットの導入に向けて、まずは「周到な準備」を行うことです。これについては、「一体何を準備するの?」と思う方がいるかもしませんが、よく読んでみて(聞いて)下さい。この周到な準備についてはさらに大きく2つに分けられます。

 

まずは「施設の課題は何か?」「課題解決のためには何をするべきか?」などを明確にすることです。要するに「課題を整理しておきしましょう!」ということです。

これについてはロボット導入を前提にした課題ではありません。だから「介護ロボットを導入する!」と決定するまでの準備とも言えます。

そして、2つ目は「介護ロボットを導入する!」と決めてからの準備があります。「誰が」「どの業務で」「誰に対して」「どのように使うのか?」という類の準備です。

 

多くの介護ロボット導入事例を見てきて、「これはマズイな!」と思っていることがあります。それは「施設の課題は何か?」「課題解決のためには何をするべきか?」などについて十分に議論されないままロボットに飛び付いてしまうことです。つまり、先に述べた周到な準備の1つ目ができていないということです。

 

では「なぜ、補助金に飛び付いてしまいがちになるのでしょうか?

それは、販売者や(補助金の)仲介業者などから「補助金がありますよ!」「せっかくなので、使いませんか!」「面倒な申請はお手伝いします!」などと煽られてしまうからでしょう。そうなると、必ずしも必要性を感じていなくても「ではウチも…」と手を出してしまうようです。

 

しかも、一旦飛び付いてしまうと視野が狭くなりがちです。なぜならば、飛び付いた後は「そのロボットをどう使うか?」と無理にでも「使うことを前提にした発想」になりがちだからです。

本来であれば様々な選択肢や可能性があるはず。例えば、「ロボットを導入する前に●●に取り組もう!」という選択かもしれません。あるいは、他の介護ロボットを導入する選択肢もあったはずです。しかし、飛び付いてしまうと、そういう他の可能性が見えなくなり、他の選択肢が検討されなくなるのです。

 

前回のコラム(施設にとってロボットの導入で最も重要なことは?)の中に書いた通りですが、全ては「課題の認識」からスタートするはずです。

ですので、「課題の認識」が正しく行われないまま「補助金があるから購入しなきゃ!」とロボット購入に飛び付いてしまうと、「本来、先にやっておくべきこと」から逸脱することになります。

 

物事を全て肯定的に考えれば、「本来やっておくべきことから逸脱してもいいじゃないか」「そこから新たな気付きがあり、また戻っても良いではないか?」という考え方もできます。しかし、そのために投入した労力やお金のことを考えれば、できれば逸脱しない方が良いはずです。

 

 

ところで、施設の課題については、「居室が狭い!」「トイレが古くて汚い!」「職員同士の連絡が上手くできていない!」「利用者さんや施設訪問者に挨拶する精神的な余裕すらない」「職員の募集をしても人が集まらない!」など、大なり小なり様々なことが指摘されるかと思います。

一見すると多くありそうですが、実は多くの課題は個別に独立して存在しているわけではなく、それぞれ相互に関連しているはずです。

このような課題が出てくる根本的な原因があるはずです。そういった根本的な原因をよく認識して「何をやるべきか?」を議論した上で、介護ロボットを導入する方法がおすすめです。

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