【コラム】介護ロボットの着眼点

ロボット市場への参入

高齢化の進展に伴う社会課題の解決、それに新産業の育成という面でも注目される介護ロボット。

このコラムでは「介護ロボットの着眼点」と称し、私、関口が2010年にスタートさせ、現在も取り組んでいる介護ロボットの普及推進にまつわる話をお伝えします。

過去の取り組みをはじめ、現在、未来と時間軸をずらし、あるいは、メーカー、介護施設などと立場を変えながらお伝えする介護ロボット普及推進のコラムです

 

2017年 5月23日(火)

介護ロボットコラム019: 施設にとってロボットの導入で最も重要なことは?

「なぜ介護施設はロボットを導入するのでしょうか?」

 

この問いを介護施設の人に投げかけてみれば、さまざまな返事が戻ってくるはずです。同じ法人の人たちに聞いても、トップの理事長さんと現場の職員さんとの間には温度差があるので、異なる回答が得られるはずです。

しかし、人によって表現方法や見方が異なっていても、必ず共通する点があるはずです。

 

それは「課題解決のため」という点です。

 

「補助金制度があり、施設の負担はゼロだから…」などと言って介護ロボットを導入する場合であっても、必ず「○○の課題を解決したい!」という気持ちが根底にはあるはずです。何かしらの課題解決を願っているのです。

 

ということは介護施設にとって「課題をどう認識するか?」という点がとても重要であることがわかります。なぜなら、「課題の認識」によって選ぶロボット機種が決まるからです。

同様に、課題の認識次第では「ウチにはロボットは不要!」という判断が下されるかもしれないのです。

 

ところで、介護ロボットに限らず、何か新しいモノを導入する、あるいは新しいコトを始める際には、必ず通過すべきプロセスがあります。

介護業界に限らず、製造業もサービス業でも同じプロセスを経ます。新しい経理システムを導入する際も、新しい人事制度を検討する際も同じです。

 

それは「現状把握」です。まずは「今の状態」「今の課題」を理解するということです。

私自身、過去に「新物流システムの導入」や「コールセンターの業務見直し」などのプロジェクトを担当したことがありますが、世界的に有名な会社をはじめ、ちゃんとした会社の「仕事のやり方」は、必ず「現状把握する」というプロセスを経ます。

 

介護施設にとって「現状把握する」ということは、現場の「今の状態」を理解し、課題を整理することです。これには「課題の整理」や「課題の優先付け」などが含まれます。この「現状を把握する」ことが何よりも重要であり、介護ロボット導入の際にも同じことが言えるのです。

 

ただし、注意すべき点があります。それは、現状を把握する際に、初めから「ロボットありき」になるべきではないということです。まずは、ロボットの存在を意識せずに、「今の状態」「今の施設の課題」をよく理解することです。そして、次に「あるべき姿」を描きます。「目標設定」ということです。

 

当然ながら、「今の状態」と「あるべき姿」の間にはギャップがあるのですが、そのギャップを埋める解決策を検討する際に、「では、ロボットはどうだろうか?」と検討することになるわけです。ここでは、ロボットの導入・活用が「あるべき姿」へ導いてくれるかどうか? を検討することになります。

 

つまり、ロボットは「今の状態」と「あるべき姿」のつなぎ役を担っているわけです。

「あるべき姿」が明確になれば、「この機能はウチには必須だ」「これは便利だが、ウチには必要ない!」ということもハッキリしてくるわけです。

 

また、施設が介護ロボットを導入・活用する際には、「課題の認識」や「目標設定」だけではなく、「ロボット機種の選定」「トレーニング」「効果測定」など、意外にもやらねばならないことは多くあります(→ こちらの教材では、導入・活用で取り組むべきことをステップ・バイ・ステップで詳しく説明しています)。

 

このように「トレーニング」「効果測定」などやらねばならないことは色々とありますが、「施設にとってロボットの導入で最も重要なことは?」と問われたら、私は自信を持って「課題の認識」と「目標設定」と回答します。

 

なぜでしょうか?

 

なぜなら、先に述べた通り、施設が「課題をどう認識するか?」によって、導入すべきロボット機種が異なるからです。A施設とB施設では、課題の認識によって必要なロボットが異なるはずです。

「課題の認識」が必要なロボットの決定要因になるわけです。また、先に述べた通り、課題がハッキリしていれば、必要なロボットの選定が容易になるわけです。

 

さらに追加すれば、施設における「目標設定」がちゃんと行われておらず、目標が明確化されていなければ、ロボット活用の効果測定そのものがあまり意味のないものになってしまいます。

だって、目指すべき道がハッキリしないまま「ロボットがあるから、ロボットを使う」ようなロボット活用になってしまうからです。

ロボットの選定も効果測定も、全ては「課題の認識」からスタートしているわけです。

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