2024年も残り数日となりました。新しい年を迎えるにあたり、多くの中小企業が新たな市場への挑戦を計画していることでしょう。特に、介護施設の負担軽減や業務効率化を支援するスマホアプリやツールを開発する企業が増えていますが、新規参入にはどのような準備が必要なのでしょうか?
このコラムでは、介護分野への参入を目指す企業が押さえるべきポイントを、AIを活用した調査結果と私自身の見解を交えながらお伝えします。
まず、AIを活用して「中小企業が介護施設向けアプリを開発し、介護市場に参入する際に注意すべき点」を調査してみました。以下がその要点となります。
1.現場ニーズの深掘り
2.ユーザビリティの確保
3.セキュリティとプライバシーの保護
4.既存システムとの連携
5.法令・規制の遵守
6.導入後のサポート体制
次に、AIを用いて「顧客開拓において特に重要な点」を調べた結果、以下の通り回答を得ましたので紹介します。
1.ターゲットの明確化
2.現場ニーズの深掘り
3.デジタルマーケティングの活用
4.ネットワーキングの強化
5.成功事例の共有と口コミ促進
6.導入後のフォローアップ体制
AIの提案は非常に包括的で、特に「現場ニーズの深掘り」や「既存システムとの連携」といったポイントは、介護分野への新規参入において不可欠な視点です。
しかし、それだけでは不十分な場合もあり、現場の状況に応じた戦略的なアプローチが求められます。ここでは、私自身が重要だと考える2つの視点を付け加えたいと思います。
1. 認知の獲得がスタート地点
どんなに優れた製品やサービスでも、ターゲット層に認知されなければ成果を上げることはできません。AIの提案には「デジタルマーケティングの活用」が挙げられていましたが、介護業界についてはこの方法がベストだとは思いません。
AIは「現場ニーズの深掘り」とも指摘していますが、顧客視点に立って、施設の職員が問題を認識した際に、それを組織内でどう共有し、その問題解決に向けて、どこから、どのようにアクションを起こし、最終的に「購入」という判断を下すのか?
こういったプロセスをよく確認する必要があるのです。その上で、「認知の獲得」をどう達成すべきかよく検討することです。
例えば、業界イベントでの実演やデモンストレーションを行う、または施設訪問による直接的な説明を重ねることで、製品のメリットを直感的に理解してもらえる機会を提供することができます。また、初期段階で導入してくれる「アンバサダー的な施設」を見つけ、成功事例として共有してもらうことで、口コミを通じた認知拡大を図る方法もあります。
2. 提案のタイミングが鍵を握る
もう一つ重要なのは「タイミング」です。介護施設では、一度システムやツールを導入すると、簡単に別の製品に切り替えることは難しいのが現実です。
そのため、製品の提案タイミングを見極めることが、成功の大きな鍵となります。「早すぎる」場合は、1~2年待てばチャンスがあるかもしれませんが、「遅すぎる」場合は残念ながら手遅れなのです。
施設が現行システムの更新時期に合わせて提案を行うことが理想的です。また、施設職員が新しい操作方法を覚える余裕がある時期を選ぶことも、採用されやすくなる要因の一つです。
このように、導入側の事情やスケジュールを把握し、最適なタイミングを狙ったアプローチを行うことが求められます。
その他、いろいろ気になる方は、こちらのレポート『介護ロボット・ICT市場開拓の秘訣:なぜ上手くいかないのか? 成功するための戦略とマーケティング』を参考にしてみてください。
このレポートでは、特に新規参入企業が直面しやすい課題とその克服方法について詳しく解説しています。
【No.53】介護分野への挑戦:中小企業が切り拓く新たな可能性
【No.52】ホワイトカラーの消滅と介護人材が社会の主役となる未来
【No.51】日本社会の課題と介護産業の改革
【No.50】公務員の常識を覆すDX戦略の現場から【No.49】地方創生マネーの実態と課題
【No.48】地方自治体のデジタル変革:市民サービスの改善への道
【No.47】介護分野の労働危機を社会の転換点へと変える解決策
【No.46】介護予防事業の問題点と克服への道筋
【No.45】補助金が、自主性や積極的な改革の意識をダメにする?
【No.44】介護ロボの普及:国や自治体の補助金政策は何が問題なのか?
【No.43】コロナ禍で介護ロボットの普及は阻まれるのか?
【No.42】分厚いレポートと保険給付外の市場の可能性
【No.41】販売事業者は、どのようにセミナーを開催するべきか?
【No.40】製造業のサービス化が進んでいく中、介護ロボットは?
【No.39】縦割りの弊害とカニバリゼーション
【No.38】介護ロボットのセミナーやアンケートの活かし方
【No.37】介護ロボットの普及は「見える化」が解決してくれる
【No.36】介護ロボットの普及・市場開拓のブレイクスルー
【No.35】介護ロボットの買い手の効用を妨げているものは?
【No.34】平成31年度の補助金は早期争奪戦か?
【No.33】介護ロボットはキャズムを越えられるか?
【No.32】産業用と異なるからこそ必要なこと
【No.31】介護ロボット販売で先にやるべきこと
【No.30】成功への第一歩はメニューに載ること?
【No.29】 過去のターニングポイントと面白い取り組み
【No.28】 平成30年度の介護ロボット予算で気付いたことは…
【No.27】ロボット活用に向けた施策で最も重要なことは…
【No.26】市場開拓にレバレッジが効く「1対N」のアプローチ
【No.25】介護ロボット市場の開拓にも必要なユーザー教育
【No,24】誰が介護ロボット市場を制するか?
【No.23】介護ロボット代理店の苦労
【No.22】ロボットビジネスのセグメント化
【No.21】「ニーズの違い(バラツキ)」とイベント企画
【No.20】施設が補助金に飛びつく前にやるべきこと
【No.19】施設にとってロボットの導入で最も重要なことは?
【No.18】ロボットをロボットとして見ているだけでは?
【No.17】ロボット市場への参入は凶と出るか吉と出るか?
【No.16】ロボットセミナーの開催で判明した顧客のニーズ
【No.15】潜在顧客から見た見守りロボット
【No.14】介護ロボットは6年前より増えたが、その一方【No.13】見守りロボットは是か非か?
【No.12】介護ロボットを活用する直接的なメリット
【No.11】ロボットに頼らない活用方法は?
【No.10】施設の介護ロボット選定の実態は?
【No.9】介護ロボット市場の開拓には?
【No.8】補助金政策による光と影
【No.7】補助金のメリットとデメリットは?
【No.6】自治体支援策の特徴は?
【No.5】ハードだけではなく、ソフト面も必要では?
【No.4】介護現場にロボットを導入するための要件は?
【No.3】なぜ、「普及はまだまだ!」なの
【No.2】介護ロボットの認知度は飛躍的に高まったが
【No.1】介護ロボットの普及を電子カルテと比べると