2016年 7月 1日(金)

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  • システムインテグレーター
  • 有効活用の支援

介護ロボットの普及に向けて、国やいくつもの自治体から、さまざまな支援策が打ち出されています。これまでの介護ロボット普及に関する支援策を振り返ってみると、産業振興面がより強く、以前はどちらかというと(介護施設ではなく)ロボットを開発する側の支援に力が入れられていました。

支援の資金(公費)は、ロボットを開発するメーカーへ流れる傾向にあったのです。

 

また、支援策の1つである「試験導入・実証事業」などに関しては、メーカーの製品改良のために行われているような事業モデルが多かったようです。別の表現をすれば、メーカーの製品開発・改良のために、介護施設がフィールドとして使われがちであったと言えるでしょう。

そのようにメーカー向けの支援が充実する一方、介護ロボットを使う側である介護施設のメリットは限定的でした。

 

ところが、最近では購入側の負担軽減の補助が目立ってきました。依然としてメーカーに資金が流れることには変わりないのですが、購入側の経済的な負担を大きく軽減させてくれる支援が充実してきたのです。

本来あるべき「介護施設メーカー」の資金の流れにかわり、「自治体メーカー」という流れが主流でした。しかし、モノ(介護ロボット)が「メーカー施設」へと流れるようになってきたのです。

 

このような補助に関しては、例えば、最大で10万円まで介護施設の購入費用の1/2を補助してくれる支援事業があります。この事業は都道府県の主に高齢福祉部門が窓口になって平成27年度から実施されています。

また、最近注目されたのが、最大300万円、しかも10/10補助するという厚生労働省の介護ロボット等導入支援特別事業(平成27年度補正予算)です。この事業は今年6月に入ってから、当初の300万円から90万円台に補助が減額されました。

この減額により申請の取りやめ・変更、補助金により売上を当て込んだ代理店への影響など、既にトラブルの芽があちこち出始めているようです。

 

今後も引き続き様々なトラブルの発生が予想されるものの、このように資金を出して補助してあげれば、施設に介護ロボットを買ってもらうだけであれば、とりあえず上手くいくはずです。補助金により、メーカーや代理店の売上が一時的に大きく伸びるはずです。

 

しかし、「モノ」を提供するだけではなかなか上手に活用されないのが介護ロボット。果たして、導入された介護ロボットは、どこまで本当に上手く活用してもらえることやら?

また、今後、普及のためにはハード面の支援だけではなく、ソフト面の充実が求められるでしょう。

最近、ロボットの世界では、情報システム分野で頻繁に使われる「システムインテグレーター(SIer)」という表現をよく耳にするようになりました。それは、生産ラインにロボットを導入する際、ロボットとオペレーションソフトウェアの組み合わせ、ラインとの最適化などをサポートする役割を担うのです。

つまり、ロボットの普及にはロボットと生産ラインを繋ぐ役割が重要であるということです。このことが強く認識されるようになってきました。

 

まさにこれと同じで、介護現場にロボットを導入するに際し、操作方法を説明して「はいどうぞ!」とモノを与えるだけではなく、有効活用してもらうための支援が不可欠なのです。

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