介護テクノロジーの普及と定着を通じて、高齢社会の課題解決に貢献する

介護ロボット経営実践会

  

介護ロボットの着眼点(No.9)

介護ロボット市場の開拓には?

2016年 8月 24日(水)

【キーワード】

  • 協力モデル施設
  • ベストプラクティス

ロボットに限った話ではありませんが、介護業界(施設)向けにモノやサービスを提供するビジネスには苦労が伴いがちです。「絶対にないと困る」という必需品でもない限り、簡単には受け入れられません。

もう少し正確に言えば、自社の製品やサービスが、介護保険制度などの一環として国や自治体が用意した「支援の枠組み(公的補助や診療報酬など)」に組み込まれていない限り、介護市場でのビジネス展開は非常に厳しくなるのです。

 

???ですか?

具体的には次のようなことをお伝えしようとしているのです。

例えば、とあるロボットをある業界に上市させようとし、130万円で販売すると仮定しましょう。その業界では30万円の値付けで買い手が現れても、同じロボットを介護市場へ持っていくと30万円どころか半値の15万円に下げても「高い!」と指摘されるはずです。

つまり、他業界と同じ製品やサービスを提供したとしても、介護市場では価格を大きく下げなければ商売になりません。これは顧客単価の著しい低下を意味します。そのうえ、1顧客あたりの獲得コスト(CPA)は、他業界よりも高くなりがちです。

 

このような市場環境であるからこそ、メーカーがロボットビジネスを展開しようとしても、介護市場の開拓(施設への拡販)において苦戦を強いられることになるのです。

 

では、なぜこれほど厳しい状況になってしまうのでしょうか。

それは、施設の運営が介護保険制度の枠組みの中で行われており、収入のほとんどを介護報酬に依存していることに起因します。さらに、介護業界は規制業界であるため、一般的な他の業界に比べて、国や自治体からの支援金や補助金などの制度が非常に充実しています。

つまり、介護保険制度の枠組みの中で提供され、直接あるいは間接的に公費の恩恵を受けているモノやサービス(各種研修などを含む)は、どれも安価に抑えられているのです。このように公的支援が充実している点において、介護業界は非常に恵まれた環境にあると言えます。

しかし、物事には表と裏がある通り、このことは公費の恩恵を受けることなくモノやサービスを施設に提供する事業者にとっては、先に書いたような苦労を伴うことになります。介護施設側の支払い意欲がヨソ(民間企業など)とは異なるからです。

自腹でモノやサービスの購入をする動きが、(ヨソに比べると)どうしても鈍くなりがちです。その結果、同じ製品・サービスを提供しているのに、施設へ提供しようとすると(ヨソの業界よりも)「顧客単価が低いにも関わらず、顧客獲得コストが高い!」という現実に直面するのです。

これでは、損益に注意を払いながら事業展開している企業が、介護市場への進出を諦めてしまいます。そうなってしまうと介護ロボット市場への参入企業が大きく減ってしまいかねません。

そういう事態を避けるためにも、国や自治体の支援策や介護ロボットの介護保険給付の対象検討などは非常に重要な役割を担っているのです。

また、別の側面から検討してみると、介護市場への参入はメーカーにとって都合の良い点も多いのです。なぜなら、良し悪しは別にして、何かしらの補助が獲得しやすく、しかも国や自治体の支援策を上手く活用すれば、大なり小なりあちこちからもらうことが可能だからです。

ただ、行政がこれまでのように単にメーカーや施設に金銭面の補助を提供するだけでは、無駄も目立つようになるでしょう。施設において目標や計画が曖昧で、活用する体制すら築かれていないまま、なんとなくロボットが導入されても上手く使われないからです。

そこで、私は介護ロボットの普及促進に向けて、まずはユーザーとなる施設に対して、ロボットを介護経営にうまく活かせるように育成してあげる支援が必須であると考えています。

国や自治体はもちろんですが、各メーカーにとっても、ベストプラクティスのごとく(自社の)介護ロボットを上手く活用してくれる施設の育成が必要なはず。とはいうものの、これは行政向きの仕事でしょう。なぜなら、メーカーが担当するとどうしても自社製品のPR要員を育成するだけになってしまうからです。

とにかく「まずは、優等生を育成し、そこから他施設へ波及させる!」。単発の補助ありきではなく、普及に向けてまずは戦略シナリオを明確にした上で、支援策を検討すべきではないでしょうか?

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