2016年 9月 16日(金)
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去る9月6日(火)に開催された埼玉県事業の「埼玉県 リハビリ・介護ロボット研究会」では、6月の開催時に続き、パネルディスカションでモデレーターを務めさせていただきました。
このパネルディスカションの内容は、「シルバー新報」(2016年9月9日)さんに記事として取り上げてもらいましたが、介護施設のロボット導入に関し面白いことが書かれていました。
ディスカションの中で施設パネラーの方々に対して質問した1つが「どのようにして導入すべきロボットを選んだのですか?」でした。私自身はこれまで多数の施設を訪問してヒアリングした結果から実態を把握していましたが、今回、改めてあることを痛感させられました。
痛感したあることとはズバリ、施設の介護ロボット導入の実態が「受身であった」ということです。多くの施設は、自ら積極的に情報を集め、比較検討した上で導入すべき介護ロボットを決定したわけではなかったのです。
そうではなく、前からお付き合いのある業者に勧められた、あるいは営業に来た会社から導入したというケースが目立ったのです。要するに、能動的ではなく受動的な購入だったのです。
「シルバー新報」さんの記事にも記載がある通り、ロボット導入時にホームページを見るなど複数機種の比較検討をして介護ロボットの情報収集をしたのは、パネラーとして参加された9施設の中で3施設のみ。残りの6施設は、特に比較検討などすることなくロボットを導入したそうです。
この実態は、ロボットメーカーが自社製品の販売戦略を検討する際の大きなヒントになります。具体的に説明すると、介護施設に対してはプル戦略ではなくプッシュ戦略の方が有効であるとのことです。
一般的に、BtoB(Business to Business)の世界では、売り手から見込客にアプローチするプッシュ戦略の方に力が入れられるケースが多い一方、一般消費者向けのBtoC(Business to Consumer)の場合は顧客から能動的にアプローチしてくるように仕掛けるプル戦略に力を入れがちです。
施設への販売に関しては、「お声が掛かるのを待つ」というよりも、プッシュする必要があるようです。とはいうものの、これはあくまで現状です。今後、ロボットメーカーがマーケィングのノウハウを身に付けてくれば、施設(顧客)の方から能動的にアプローチをしてくるようになるはずです。今はまだそこまでに達していないようです。
ところで、施設の方は、介護ロボット導入に際し、本来であれば、まずは自分たちが直面している課題を整理した上で、「何が必要なのか?」「本当にロボットが必要なのか?」といったアセスメントというか現状把握をすべきではないでしょうか?
その上で、課題の解決に向けて「ロボットを導入しよう!」と決めたのであれば、その次に、相応しい複数機種のロボットを調査した上で絞り込むべきかと思うのです。しかし、現実は「受け身」なようです。
まもなく公開予定です(近日公開)