【コラム】介護ロボットの着眼点

施設の介護ロボット選定の実態は?

高齢化の進展に伴う社会課題の解決、それに新産業の育成という面でも注目される介護ロボット。

このコラムでは「介護ロボットの着眼点」と称し、私、関口が2010年にスタートさせ、現在も取り組んでいる介護ロボットの普及推進にまつわる話をお伝えします。

過去の取り組みをはじめ、現在、未来と時間軸をずらし、あるいは、メーカー、介護施設などと立場を変えながらお伝えする介護ロボット普及推進のコラムです

 

2016年9月16日(金)

介護ロボットコラム010:施設の介護ロボット選定の実態は?

去る96日(火)に開催された埼玉県事業の「埼玉県 リハビリ・介護ロボット研究会」では、6月の開催時に続き、パネルディスカションでモデレーターを務めさせていただきました。

 

このパネルディスカションの内容は、「シルバー新報」(201699日)さんに記事として取り上げてもらいましたが、介護施設のロボット導入に関し面白い点が記事に書かれています。

 

ディスカションの中で施設パネラーの方々に対して質問した1つが「どのようにして導入すべきロボットを選んだのですか?」でした。私自身はこれまで多数の施設を訪問してヒアリングした結果から実態を把握していましたが、今回、改めてあることを痛感させられました。

 

痛感したあることとはズバリ、施設の介護ロボット導入の実態が「受身である」ということです。多くの施設は、自ら積極的に情報を集め、比較検討した上で導入すべき介護ロボットを決定しているわけではないのです。そうではなく、前からお付き合いのある業者に勧められた、あるいは営業に来た会社から導入したというケースが目立つのです。要するに、能動的ではなく受動的な購入なのです。

 

「シルバー新報」さんの記事にも記載がある通り、ロボットの導入時にホームページを見るなどを含め複数機種の比較検討をして介護ロボットの情報収集をしたのは、パネラーとして参加された9施設の中で3施設のみ。残りの6施設は、特に比較検討などすることなくロボットを導入したそうです。

 

 

この実態は、ロボットメーカーが自社製品の販売戦略を検討する際の大きなヒントになります。具体的に説明すると、介護施設に対してはプル戦略ではなくプッシュ戦略の方が有効であるとのことです。一般的に、BtoB(Business to Business)の世界では、売り手から見込客にアプローチするプッシュ戦略の方に力が入れられるケースが多い一方、一般消費者向けのBtoC(Business to Consumer)の場合は顧客から能動的にアプローチしてくるように仕掛けるプル戦略に力を入れがちです。

 

施設への販売に関しては、「お声が掛かるのを待つ」というよりも、プッシュする必要があるようです。とはいうものの、これはあくまで現状です。今後、ロボットメーカーがマーケィングのノウハウを身に付けてくれば、施設(顧客)の方から能動的にアプローチをしてくるようになるはずです。今はまだそこまでに達していないようです。

 

ところで、施設の方は、介護ロボット導入に際し、本来であれば、まずは自分たちが直面している課題を整理して、「何が必要なのか?」「本当にロボットが必要なのか?」といったアセスメントというか現状把握をすべきではないでしょうか?その上で、課題の解決に向けて「ロボットを導入しよう!」と決めたのであれば、その次に、相応しいロボットを複数機種の調査をした上で絞り込むべきかと思うのです。しかし、現実は「受け身」になっているようです。

介護サービス事業者向け「PDCA ✕ 業務標準化」実践セミナー

3点について学ぶ介護事業者向けセミナー
・PDCAのまわし方
・業務の標準化
・目標設定

介護ロボット市場開拓のマーケテイング

【No.33】介護ロボットはキャズムを越えられるか?
【No.32】産業用と異なるからこそ必要なこと
【No.31】介護ロボット販売で先にやるべきこと
【No.30】成功への第一歩はメニューに載ること?
【No.29】 過去のターニングポイントと面白い取り組み
【No.28】 平成30年度の介護ロボット予算で気付いたことは…
【No.27】ロボット活用に向けた施策で最も重要なことは…
【No.26】市場開拓にレバレッジが効く「1対N」のアプローチ
【No.25】介護ロボット市場の開拓にも必要なユーザー教育
【No,24】誰が介護ロボット市場を制するか?
【No.23】介護ロボット代理店の苦労
【No.22】ロボットビジネスのセグメント化
【No.21】「ニーズの違い(バラツキ)」とイベント企画
【No.20】施設が補助金に飛び付く前にやるべきこと
【No.19】施設にとってロボットの導入で最も重要なことは?
【No.18】ロボットをロボットとして見ているだけでは?
【No.17】ロボット市場への参入は凶と出るか吉と出るか?
【No.16】ロボットセミナーの開催で判明した顧客のニーズ
【No.15】潜在顧客から見た見守りロボット
【No.14】介護ロボットは6年前より増えたが、その一方【No.13】見守りロボットは是か非か?
【No.12】介護ロボットを活用する直接的なメリット
【No.11】ロボットに頼らない活用方法は?
【No.10】施設の介護ロボット選定の実態は?
【No.9】介護ロボット市場の開拓には?
【No.8】補助金政策による光と影
【No.7】補助金のメリットとデメリットは?
【No.6】自治体支援策の特徴は?
【No.5】ハードだけではなく、ソフト面も必要では?
【No.4】介護現場にロボットを導入するための要件は?
【No.3】なぜ、「普及はまだまだ!」なの
【No.2】介護ロボットの認知度は飛躍的に高まったが
【No.1】介護ロボットの普及を電子カルテと比べると