【コラム】介護ロボットの着眼点

ロボットに頼らない活用方法は?

高齢化の進展に伴う社会課題の解決、それに新産業の育成という面でも注目される介護ロボット。

このコラムでは「介護ロボットの着眼点」と称し、私、関口が2010年にスタートさせ、現在も取り組んでいる介護ロボットの普及推進にまつわる話をお伝えします。

過去の取り組みをはじめ、現在、未来と時間軸をずらし、あるいは、メーカー、介護施設などと立場を変えながらお伝えする介護ロボット普及推進のコラムです

 

2016年10月28日(金)

介護ロボットコラム011:ロボットに頼らない活用方法は?

つい先日、法人研修会で講演させていただいたある介護施設の方がわざわざ自ら作成・集計したアンケート結果の報告書を送ってきてくれました。中を読んでみると、「目的を持ってロボットを導入すれば良いとのアドバイスは参考になった」、「私たちの施設でもどう備えていくかということを考える機会になりました」「介護現場でのロボットのイメージが分かりやすかったです」などと有難いご意見が多かったのですが、1つ気になるコメントがありました。その原文は次の通りです。

 

今後必ず人とロボットが共存する世の中は来ると思うし、施設にも必ず導入されるでしょう。しかし今現在でも介護の質が落ちてきたという事が言われる中で技術を磨くことなくロボットに頼ってしまい更なる介護の質が落ちたと言われるのではないかと思いました。各個人の気持ち次第の所が大きいと思いますが技術向上にはどうかと疑問に思う所があるのが現状です。

 

このような心配をされるのはごもっともだと思います。

何事においても「頼りすぎ」は問題です。例えば、親がいつまでも子供に経済支援を続けていたら、子供の経済的自立を遅らせる原因になるかもしれません。なぜなら、親のすねをかじっていられ、本人には切迫感が芽生えなくなるからです。また、メーカーがいつまでも国や自治体の補助金に頼って事業の展開をしていたら、資金面で助かる一方で、自ら稼ぐ機会が奪われ、結果として市場での競争力低下を招くことになりかねません。

だから、何事にも頼りすぎない注意が必要です。

 

ロボットの活用に関しても同じことが言えるのではないでしょうか?介護ロボットを導入したとしても、主役は人でありロボットは脇役にすぎません。なぜなら、産業用のロボットが使われている工場や倉庫などと環境が大きく異なり、介護の現場は心のこもったおもてなしをする場ですから。

 

こういう点を踏まえると、ロボットに頼るのではなく、ロボット導入・活用から得られるメリットを上手に引き出そうとすれば良いのではないでしょか?同時に、私は、皆で知恵を出し合い、ロボットの導入・活用を日常業務のさまざまな場面に上手にいかそうとする前向きな姿勢が重要ではないかと考えています。

 

例えば、「介護ロボットを導入すべきか?それとも不要か?」「導入するのであれば、どのようなロボットが必要か?」など、ロボット導入の必要性を検討することは施設の課題を整理する(アセスメントする)絶好の機会となります。こういう取り組みを通じて、新たな気づきや反省があるはずです。また、ロボットの導入に向けて委員会やプロジェクトを立ち上げて、チームで話し合って目標を設定し、共有し、それの達成に向けてアクションを計画し管理していくようにすれば、仮に目標達成しなかったとしても、そのような取り組み自体が素晴らしい人材育成の場となるはずです。

 

このように、ロボットの導入・活用については、職員の負担軽減など直接的に得られるメリットの追求だけではなく、少し発想を転換してみると良いかもしれません。ロボットの導入検討を機に、利用者さんの満足度アップはもちろんですが、法人内の人材育成や業務見直しなどの絶好の機会として捉えてみれば、これまでとは少し違った視点で介護ロボットの導入・活用方法が見えてくるかもしれません。

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