幸齢社会をひらく──AIとエイジテックの力で

いきいき長寿社会推進者セキグチ

    Active Aging Evangelist(アクティブ・エイジング・エバンジェリスト)

2016年 11月 16日(水)

【キーワード】

  • 直接的なメリット
  • 副次的なメリット

前回のNo.11: ロボットに頼らない活用方法は?」の記事では「職員の負担軽減などロボットから直接的に得られるメリットの追求だけではなく、少し発想を転換して、ロボットの導入検討を機に、利用者さんの満足度アップをはじめ、法人内の人材育成や業務見直しの絶好の機会として捉えてみれば、これまでとは少し違った視点で介護ロボットの導入・活用のメリットが見えてくるかもしれません」ということをお知らせしました。

その後、このコラムを読まれた施設の方から「直接的なメリットってどういうことですか?もう少し詳しく教えてくれませんか?」という質問がありました。そこで、今回のコラムにて皆様にもお知らせいたします。

まず、介護ロボットを使う直接的なメリットの例としては次のようなことがあります。

  • 移乗介助機器の使用により腰への負担が軽減されること
  • 見守り支援機器の使用により夜間見守りの負担が軽減されること
  • 移動支援機器を使用することにより、高齢者の行動範囲が広がること

 

上記の内容は、介護ロボットをツールとして活用することで目的達成できるはずです。当然ながら、誰が、どのように使うかによって引き出せる機能は異なりますが、「腰への負担軽減」「夜間の見守り軽減」「行動範囲の広がり」などはまさにロボット活用から得られるメリットであり、本来の活用目的でもあります。

 

でも、お気づきの通り、残念ながらロボットは人間と異なり1機種から引き出せる機能は限られています。マルチタスクが可能な人間と異なり、ロボットの機能は限定的で局所的にすぎません。

だから、そのように単なるツールとして活用している限り、メリットはどうしても限られてしまいがちな一方、マイナス面ばかりに目が行くことも。

 

そこで、さらにメリットを享受するための知恵を前回の記事の中でお伝えしたのです。私が記事でお伝えしようとした内容は、ロボット導入・活用を機に、上手く工夫して先に書いたような直接的なメリット以外の「副次的な効果」を狙うことです。

せっかく高額なロボットを購入するならば、ロボット導入を最大限に活かそうではないかということです。

 

購入費を国や自治体に補助してもらう場合は別ですが、ロボットの購入には大きな経済的な負担が生じます。せっかくロボットを導入するのであれば、可能な限り有効に活かした方が良いのです。

その活かし方として、前回、ロボット導入の検討が施設の課題を整理する(アセスメントする)良い機会になるとお伝えしました。人材育成の絶好の機会にもなります。

また、よく見られるのは、ロボットを広告に活用する方法です。現に、上手な施設ではロボットを施設内で活用していることを積極的に情報発信します。いわゆるイメージアップを狙った方法です。

これは、利用者さんの採用はもちろんですが、職員の募集にも使えます。近い将来、ロボットが広く普及してくると珍しさがなくなり効果は半減しますが、現段階ではまだロボットを宣伝に上手く使うことが可能なのです。

 

とにかく、ポイントは介護ロボットを単なるツールとして使うだけではなく、導入を機にいかに上手に活用するかです。ただし、単なるツールとして使うだけでは直接的なメリットしか得ることが出来ないでしょう。

セキグチについて

「いきいき長寿社会推進者セキグチ」の関口です。

テクノロジーを通じて、高齢者がより豊かに社会とつながる未来を目指し、介護ロボット分野から一歩広げた活動に取り組んでいます。私の経歴やこれまでの取り組みについては、プロフィールページで詳しく紹介しています。

また、活動の背景や大切にしている考え方は、ビジョン・メッセージページにまとめています。ぜひあわせてご覧ください。

最新コラム&インサイト

私が介護ロボットの世界に深く関わるようになったのは、2010年の神奈川県事業(介護ロボット普及推進事業)がきっかけでした。

当時は“介護ロボット” という言葉自体がまだほとんど知られておらず、施設の訪問調査では、A3用紙にロボットの写真をずらりと貼り付け、「介護ロボットとは…

テクノロジーが拓く長寿社会の未来

テクノロジーと社会参加の両面から、長寿社会をより豊かにするための視点をわかりやすくお届けしています。

最新のお知らせ

2025年11月18日(火)

「介護ロボット経営実践会」に代わり、新ブランド「いきいき長寿社会推進者 セキグチ」として新サイトを公開しました。