【コラム】介護ロボットの着眼点

見守り支援機器は是か非か?

高齢化の進展に伴う社会課題の解決、それに新産業の育成という面でも注目される介護ロボット。

このコラムでは「介護ロボットの着眼点」と称し、私、関口が2010年にスタートさせ、現在も取り組んでいる介護ロボットの普及推進にまつわる話をお伝えします。

過去の取り組みをはじめ、現在、未来と時間軸をずらし、あるいは、メーカー、介護施設などと立場を変えながらお伝えする介護ロボット普及推進のコラムです

 

2016年12月9日(金)

介護ロボットコラム013 : 見守り支援機器は是か非か?

先週、お手伝いしている埼玉県事業の一環として埼玉県内の介護施設で見学会を開催しました。その施設ではなんとオープン時から全床に見守り機器を導入しているのです。施設見学会のプログラムにはディスカション(質疑応答)の時間もありましたが、その際に参加者同士の意見交換で少し熱くなりかけたテーマがありました。それは「身体拘束」についてです。

 

これは施設職員の見守りロボットに対する認識の違いから生じているようです。見守りロボットの活用については入居者さんに対する安心・安全を提供していると考える方が大勢いる一方、「施設で生活している入居者さんには自宅と同じ生活をしていただいている。自宅でごく普通の生活を送っていたらこのような機械(見守りロボット)は設置しないはず!」などと主張し、「見守りロボット=身体拘束、プライバシーの侵害」と考える施設職員も少なくないようです。プライバシーについては、居室にいる利用者さんが素っ裸になってもわからないように管理画面にはシルエット画像しか映らないようにするなどメーカーさんは製品開発する上で細かな配慮をしています。しかし、それでも一部の方からは「これは身体拘束だ」「プライバシーの侵害だ」と言われてしまうが現実です。

 

このような見守りロボットに対する認識は、価格や機能面に加えて施設へ普及させる際の阻害要因の一つになっています。

 

同じ言葉を掛けても、置かれている状況やお互いの人間関係によりそれを好意として受け取る人がいる一方で「失礼だ!」と感じる人がいるのと同様に、見守りロボットの使用についても「身体拘束」になるかどうかの判断は人それぞれ。倫理委員会の設置も良いのですが、結局のところ本人に直接聞いてみないとわからないのではと思っています。

 

重要なことは利用者さん本人をはじめご家族の方とのコミュニケーションや信頼関係ではないでしょうか?また、施設の中には新しい機器を使い始める際に家族会などの場を通じて「ウチでは来月からこういうロボットを使います!」とお披露目の機会を設けることがあります。あるいは、そういう機会がなければ、「本人と家族の方へ説明する機会」を設け、書面にて承諾してもらった上でロボットを使用しています。

 

施設運営している法人の中には、「お客さまとのお約束」などを文書化して掲げ、それをホームページなどで情報発信しているところもあります。介護ロボットの使用についても「ウチは、〇〇のロボットを□□□の目的で活用しています!」などとあらかじめ宣言しておくのが良いでしょう。

 

例えば、「当施設ではお客さまの安心・安全のために●●機能を持つ□□社の〇〇という見守りロボットを導入しています」などとあらかじめ宣言しておくのです。そうすれば、それに魅力を感じる方には選んでもらえる一方で、「そんな見守りロボットの導入は身体拘束だ!」と思う方には入所を遠慮していただいた方が後のトラブルを避けるためにも良いでしょう。これは企業が、自社の価値観(バリュー)を社内外に掲げることにより、社員はもちろんのこと、顧客や外部委託業者など対してもそれを理解いただいた上でお付き合いしたいという姿勢を見せること同じではないでしょうか?

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