2016年 12月 28日(水)

【キーワード】

  • 販売中止
  • 市場撤退
  • 見守り
  • コミュニケーション

私は2010年に、当時市販化されていた、あるいは実用化に近い介護ロボットの機種をリストアップしてホームページに掲載しました。そのページは今でも「介護ロボット」と検索エンジンに入力すると3位以内に表示されます。

あれから6年以上が経過しました。このたび改めて介護ロボットについて調べてみる機会があり当時調べ上げたロボットについて1つ1つチェックしてみたのですが、意外な事実が判明しました。

 

なんと三菱重工業社が開発したロボットwakamaru(わかまる)をはじめ、意外にも進化するどころか逆に、販売中止に追い込まれる、あるいは6年以上も経過していながら実用化に至っていないロボットが結構ありました。

ちなみに、wakamaru(わかまる)は身長100cmの人間とコミュニケーションして、周囲の視覚情報から人間を検出して顔を識別し、音声を認識して簡単な対話をするロボットです。

このロボットの販売中止については公になっていたので、あえてこの場で製品名までお知らせしていますが、他についてはちょっと公開するわけにはいきません。中には、会社の存在すらどうなってしまったのかわからないケースもありました。

 

6年以上前と今を比べて、全体を総括してみるとコミュニケーションや見守り系ロボットの機種が増えてきた一方、移乗介助系は苦戦しているなという感じです。コミュニケーション系のロボットについては、ソフトバンク社がペッパーを積極的に宣伝していたこともあり、わずか数年の間に知名度が大きくアップしました。

6年前は誰もがその存在を知らなかったはずですが、今では新たな市場が広がりつつあります。同時に小型の人型ロボットが市場に多く出回るようになりました。こられについては、介護分野で使うというよりも、人に寄り添い、相棒のような役割を果たしてくれるロボットです。

 

また、見守り系ロボットについては、大企業から個人事業主に至るまで多様なプレイヤーが参入してきました。以前からあった離床センサーやセンサーマットの類から大きく発展し、プライバシーに配慮した機能が強化され、また脈拍などバイタル情報が正確に把握できる機器が増えました。

 

このようにICT技術を取り込んだ製品が続々と増えている一方で、職員の身体的な負担軽減を目的としたロボットについては苦戦が続いているようです。安全面、操作性、所要時間(生産性)などの課題がまだ指摘されていることもあり、せっかく実用化されても使ってもらうにはなかなか大変なようです。

 

果たして今から5年、6年後はどのように変わっていくでしょうか?

やはり補助金を貰ってなんとか実用化させて上市しても、市場から評価されることなく姿を消してしまう機種も少なからずあるでしょう。一方、これまでには無かった新しいロボットが次から次と出てくるはずです。

今から楽しみです。