2017年 9月 4日(月)
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厚生労働省の平姓27年度補正予算(介護ロボット等導入支援特別事業)では50億円以上もの公金が投入され、介護ロボット市場の形成に大きな影響を与えました。
またその時期には介護ロボットの販売代理店が急増しました。
それまでロボットとは無縁であったような事業者までもが代理店として名乗り出て、介護ロボットの販売業に新規参入しました。
当時、ロボットメーカーのホームページをチェックしていたら、知らない間に一気に代理店が増えたことを知り、驚いたのを今でも覚えています。
また「介護ロボットを販売する会社を立ち上げる!」と意気込む人たちの相談に乗ったことも何度かありました。
最近になって数社に聞いてみた限り、代理店契約した販売事業者のうちの半数以上は1-2年以上経過しても販売実績がゼロとのことです。売ってくれるのは一部の代理店に集中し、残りの多くは数台の販売実績を上げることさえ苦労しているようです。
これは「介護ロボットの販売代理店が2極化している!」と言えます。あるいは「80対20の法則」が働いているとも表現できます。
正確には80対20の比率にはなりませんが、少数の事業者によって全販売数の8割ほどが占められる一方で、それ以外の多数の事業者はゼロ、あるいは1桁の実績しかないということです。
先に述べた補正予算のような制度が発表されると、公金投入によって形成された市場のパイを代理店同士で奪い合うことになります。当然ながら、そこに参加している代理店数が少なければ、より多くのパイをもぎ取ることが容易です。
これは椅子取りゲームの如く、椅子の数が同じで参加者(プレイヤー)が少なければ、より多くの椅子取りが容易になる原理と同じです。
現在は、あのようなオイシイ補助金制度(介護ロボット等導入支援特別事業)が終了し、次なる売上の突破口を開くことができないまま、「このままではマズイ!」と感じている代理店が出始めているようです。
オイシイ補助金制度がない今、代理店事業者は自身の事業をよく見直すべきでしょう。同様に、どういうロボットの販売を担うべきかという商材の見極めも必要です。
介護ロボットの中には、100万円を超える高いモノもあれば10万円程度と比較的低価格なロボットがあります。また購入してもらっても現実的には1施設で最大2-3台しか使用できそうもないロボットがある一方、見守り系のように全床に入れてもらえるものもあります。
つまり、最初はコスト高になっても1台買ってもらえば、30台・50台・100台とリピート・追加購入に繋がりやすい機種がある一方で、1施設から数台買ってもらえば限界数に達してしまうロボットがあるのです。
だから、市場のニーズ(ウオンツ)をはじめ、顧客の獲得コスト、販売価格(顧客が負担する金額)、自社の取り分(粗利)、購入後の拡大性などと照らし合わせて、扱うべきロボットの選定(絞り込み)が必要です。
また、あるロボットの代理店業務を引き受ける場合でも、「果たしてどうやって見込み客を引っ張ってくるのか?」「どのようにアプローチして、その見込み客を購入客へと引き上げるか?」などと、一連の施策をあらかじめ設計しておくことが不可欠です。
やみくもに展示会へ出れば良いわけではありません。デモについても同様です。施設の中には、ホームページのチェックなど簡単にできる事前の調査すら行なうことなく、興味本位でロボットのデモをお願いしてくるとこもあるからです。
直接コストが発生していなくても、営業活動などに投入した時間はコストとして跳ね返ってくるのです。
仮に販売価格が高く自社の取り分(粗利)が大きくても、それ以上に新規顧客の獲得コストが高くなるロボットもあるでしょう。そういう場合は、果たしてどこから、どのタイミングで、どのように収益を確保するのでしょうか?
そういう点にも注意を払いながら、どこの代理店でも同じですが、市場開拓に向けて自社の事業体制を構築しておくべきではないでしょうか?
まもなく公開予定です(近日公開)