【コラム】介護ロボットの着眼点

ロボット市場への参入

高齢化の進展に伴う社会課題の解決、それに新産業の育成という面でも注目される介護ロボット。

このコラムでは「介護ロボットの着眼点」と称し、私、関口が2010年にスタートさせ、現在も取り組んでいる介護ロボットの普及推進にまつわる話をお伝えします。

過去の取り組みをはじめ、現在、未来と時間軸をずらし、あるいは、メーカー、介護施設などと立場を変えながらお伝えする介護ロボット普及推進のコラムです

 

2017年 8月 10日(木)

介護ロボットコラム022: ロボットビジネスのセグメント化

介護業務に携わっており、「介護ロボット」という同じモノを見ているにも関わらず、(施設に人にとって)見える景色が異なる! これを前回の「ニーズの違い(バラツキ)」とイベント企画と題したコラムの中でお伝えしました。

「見える景色が異なる」理由はロボットの導入段階によって「ニーズ」が異なるからです。このことは、何度か講演し、アンケート結果や参加者の反応をよく注意していくうちに確信したことです。ロボットの導入段階によって「求められるもの」が異なるわけです。

 

今から4年前の2013年であれば、講演の中で次のような話をするだけで十分でした。

「日本は高齢化が進んでいます」

「介護人材が不足します」

「だから新産業の育成という面だけではなく、介護分野の課題解決を目的に介護ロボットに注目が集まっています」

「介護ロボットにはこのようものがあります」

「例えば、HALは…」

「パロという癒しロボットがあり…」

 

このような話だけで十分でした。当時、私にとって「当たり前」のような内容でも、多くの人にとってはとても新鮮だったのです。

2013年といえば国が介護ロボットの開発支援に本格的に乗り出し、メディアが何度も大きく取り上げた年でした。だから「介護ロボットとは…」程度の話でも注目度が高かったのです。

 

あれから4年。2017年の今は大きく変わりました。国や自治体の補助を使って介護ロボットを導入した施設が増えました。知識を得て、経験値を2013年頃よりも大きくアップさせたグループ(施設)がある一方で、まだなかなか動かないグループとの間の差が大きくなりました。バラツキが大きくなり始めたとも言えます。

また、介護職員をはじめ、理学療法士のような専門職の人の中には「現場業務を通じてロボットを使い込んだ」という人が増えてきました。

「単に(ロボットに)興味を示す!」という段階から「実際に現場で使い込む」という段階にステップアップした人が増えてきたのです。

同様に、上手く使える施設がある一方、導入当初につまずき、あまり使うことなく時間ばかりが経過している施設も多く出てきました。「(ロボット導入については)まだ様子見」という施設もまだ数多くあるのです。

 

その結果が、「介護ロボット」という同じモノを見ているにも関わらず、見える景色が異なるということです。つまりニーズがバラつくこということです。

ところで、「ロボット」という大きな市場の中には「産業用」と「サービス」の大きな2つがあります。

「サービス」の中には、「介護分野向け」という領域(セグメント)がありますが、他にもホテル・小売・教育など業種別にさまざまなセグメントが存在します。もちろん、これは「業種別」以外の切り口で分けることもできます。

 

 また「介護ロボット」の中で「導入・活用」という側面は、ユーザー視点のテーマであり、「介護ロボット」市場の中の1領域(セグメント)にすぎません。

このようにロボットビジネス全体から見ればとても狭い1セグメントにすぎない領域でさえもニーズがすでにバラつき(分割し)始めているわけです。

 

どの市場も同じですが、大きく成長すればするほど専門化が進みます。一方で、市場が小さければ専門化は進まないで一般化します。

繰り返しになりますが、既存の市場が成長していくと、その市場が他のさまざまなニッチに分かれていき、個別のニッチ市場が形成されていきます。市場の分割が進んでいて、どんどん枝分かれ(セグメント化)していくのです。

 

こういうことはあらゆる分野で起こる現象ですが、ロボットビジネスでも同じことが起こるので、介護ロボット市場の中でも同じ現象が起こるはずです。というか、すでに起こり始めています。

 

ロボットが注目され始めた頃は、「ロボットは…」と一般的な内容でも良かったのです。「ロボットビジネス」と一括りで良かったはずです。それは市場が専門化していなかったからです。

しかし、個別のニッチ市場の形成が進むと、一般化された内容では個々のニーズを満たすことができなくなります。これは、この20年くらいで大きく成長したネットビジネスでも同じでした。

 

「個別の専門化した市場にどう対応していくか?」

これがロボットビジネスに関わる企業に求められるでしょう。

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