2017年 11月 20日(月)
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先日、あるTVのニュース番組をみていたら「中国では現金を使わない」「キャッシュレス化が進んでいる」と、現地の電子決済サービスの実態が放送されていました。
電子決済が爆発的に普及している中、トップシェアを握るのが、中国で最大のECサイトを運営する阿里巴巴集団(アリババ)の金融部門が独立したアント・ファイナンシャルです。この会社が「支付宝(アリペイ)」という電子決済を運営しているのです。
電子決済は、若者の間ではかなり浸透しているようですが、50代以上の普及率がまだかなり低いとのこと。そこでTVでは、高齢者にアリペイを使ってもらうためにスマホの使い方の講習会を地方の街で開催している様子が紹介されていました。
「スマホの使い方なんてネットで情報を公開すれば十分では?…」と思われがちですが、どうやら対面式の講習会を開催することに意義があるようです。
アリペイでは自社の決済サービスを利用してもらうために、自社アプリの操作方法だけではなく、スマホの基本操作など「アリペイのアプリを使う以前に必要なこと」を中国国内の高齢者に対面式の講習会を通じて教える場を設けているのです。
アリペイが開催している講習会のように、見込み客を教育するプロセスは、介護ロボットの普及にも必要ではないでしょうか?
しかし、実態としては、納品時に代理店が自社製品の操作方法を短時間レクチャーして、「ハイ、サイナラ!」と終了するケースが多いようです。
仕入価格と販売価格の差額が儲けとなる代理店にとっては、納品を済ませて一旦売上を計上すれば、それ以降に納品先の介護施設を再訪問してフォローすることはコスト高を招きます。
とはいえ販売した施設からクレームがあればその対応はするでしょう。あるいは、そこから追加の注文が期待できると判断すればフォローするでしょうが、その期待ができなければフォローには二の足を踏みがちです。
「納品時に自社製品の操作方法を短時間レクチャーして…」だけで済むのであれば代理店業として非常に楽ですが、介護ロボットの市場ではそうは問屋が卸さないのです。
「販売する機器の操作方法」を教えてあげることは最低限必要なことです。実際にはアリペイの講習と同じように、ロボットの操作方法以外の教育も必要なはずです。
しかし、そういうユーザー教育の必要性については担当者レベルで薄々認識していても、個々の代理店がやるかというと、難しい面が多々あります。なぜなら、多くは目先の売上を作ることで精一杯だからです。
また、本来であれば、顧客との最初の接点から、どのタイミングでどういうアプローチをして、そこにはどのくらいコストが掛かる一方、どのタイミングにどのくらいのリターンを得るのか?
こういった損益構造をはじめとする事業の設計をした上で、集客プロセスの一環として見込み客の教育プログラムが組み込むことが、理想的な事業です。
でも、多くの企業はそのような一見遠回りするようなことを戦略的に検討するよりも、むしろ補助金の獲得、即席の施策といった目先の売上づくりに興味を示すことでしょう。
また、縦割り行政機関のごとく、同じ機種を扱っているのに代理店同士は競合関係にあります。
実は先日、ある施設の人から言われたことがあります。それは、「同じ機種を導入している近くの施設がいくつか集まって勉強会でもすれば良いのに…」とのこと。私もこういう勉強会の開催は、施設の人が他の施設から学ぶ絶好の機会であると前々から思っていました。
ところが、現実問題として、施設Aと施設Bと施設Cの代理店がそれぞれ異なると、代理店同士が競合関係になるため、A・B・Cの3施設ともに同じ機種を活用しているのに、「一緒に勉強会を…」とはならないようです。
だから、施設の職員同士が、どこかの研修会などで一緒になった時に、「ウチでは今…」などとインフォーマルな情報交換を行っているのです。これが現状です。
補助金制度の発表を受けて、短期間に補助金を武器に売りさばかなければならない時期は、多数の代理店が助っ人として全国津々浦々まで施設を訪問し、大いに活躍してくれました。
しかし、先に述べた通り、今では、代理店が異なるために「同じ機種を導入している近くの施設がいくつか集まって勉強会を!」と思っても実施することが難しくなっているようです。
このような問題を認識した上で、ロボットメーカーでは今後、「どのように代理店を管理・運営していくべきか?」などをよく検討すべきでしょう。同時に、アリペイのように、何かしらの方法でユーザーを教育し、育成することが市場開拓に大きな違いをもたらすのではないでしょうか?
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