介護ロボットの着眼点(No.35)

【キーワード】買い手の効用マップ、ブルー・オーシャン

2018年 11月 30日(金)

介護ロボットコラム035:介護ロボットの買い手の効用を妨げているものは?

先日読み終えた「ブルー・オーシャンシフト」という書籍に「買い手の効用マップ」というツールに関する説明がありました。

そのツールは、「介護ロボット市場開拓のマーケティング(第3版)」という教材の中で詳しく解説している「顧客の活動チェーン」やマーケティング用語にもなっているカスタマージャーニーの概念と似ていました。

 「買い手の効用マップ」は当然ながら介護ロボット業界にも使うことができます。そこで今回のコラムでは、「買い手の効用マップ」について、それを介護ロボット業界で使うことを想定して紹介します。

 「買い手の効用マップ」は、買い手が製品やサービスの利用に伴いどのような経験をするかを一通り示すものです。また、どこで効用が損なわれているかという気付きを得ることができます。

まずは「買い手の効用マップ」について説明します。本には顧客経験のステージとして、「購入」「納品」「使用」「保守管理」「併用」「廃棄」の6つが示されていました。

実際には「購入」に至るまでには、乗り越えなければならないステージがいくつもあります。私の教材ではそこに注目していますが、読んだ本では「購入」が最初のステージとなっていました。つまり購入後のステージのみに注目していたのです。

マップを作成する際には、横軸に先に述べた顧客経験の6つのステージが並びます。「購入」「納品」「使用」「保守管理」「併用」「廃棄」です。

そして、図に示した通り、縦軸には6つのテコ(手段)が並びます。それらは、「顧客の生産性」「シンプルさ」「利便性」「リスク低減」「美しさや好ましいイメージ」「環境への優しさ」となります。

買い手の効用マップ

上記の通り、6(縦軸)✕6(横軸)=36となり計36カ所のチェックポイントができることになります。本にはそのチェックポイントを「効用スペース」と表現しています。

とにかく、6つの顧客の経験ステージと6つのテコを使って、計36の効用スペースを検討しながら、買い手の効用を妨げているものをあぶり出すというツールなのです。

本の説明に従うと、個々のテコについて最大の障害は何か、顧客経験の各ステージでその障害をもたらす要因は何かを考えながら効用スペースに「○」と「☓」を記入してマップを完成させていきます。

効用を妨げる要因がある欄には「☓」、そして業界が重視する分野には「○」を記入するのです。

そうやって「買い手の効用マップ」の作成を通じて、業界が既存の顧客に強いている苦痛や効用阻害要因を見つけ出します。

本に記載されていた文章をそのまま引用しますが、「どのような苦痛のせいで、既存顧客は製品の利用を控え気味だろうか?」「苦痛を取り除く企業が現れたら、既存顧客はその企業になびき、従来以上に製品を使うだろうか」「効用を妨げている要因は、非顧客層がこの業界の顧客になろうとする意欲をくじいたり、怖気づかせたりしているだろうか」などと検討するのです。

また、マップの作成は、業界の視野がいかに狭い範囲に限定されているかに気づき、開拓可能な効用に着目することです。

作成を通じて広々とした効用スペースが放置されていることに気づき、それを開拓すればブルー・オーシャンを創造できるとのことです。

次に、私なりに買い手の効用マップを使って、介護ロボット業界を検討してみました。

あまり詳しく説明するとコラムの文章が非常に長くなってしまうので、基本的なポイントだけをお伝えします。

ちなみに、顧客経験のステージについては、業界の実情に合わせてカスタマイズしても構わないということですが、介護ロボット業界についても先に述べた6つのステージと同じであると考えました。「購入」「納品」「使用」「保守管理」「併用」「廃棄」の6つです。

そして縦軸には「顧客の生産性」「シンプルさ」「利便性」「リスク低減」「美しさや好ましいイメージ」「環境への優しさ」と6つのテコを並べます。

本によると最もよく利用されるテコは顧客の生産性とのことですが、介護ロボット業界も同じではないでしょうか? 

これは、時間や労力、お金の節約を可能にすることが、「購入」「納品」「使用」「保守管理」「併用」「廃棄」の各ステージにおいて顧客のニーズをどれだけ効率的に満たすかを表します。

では、介護ロボット業界において「○」が記入される効用スペースはどこになるでしょうか? それは36ある効用スペースのうち、使用ステージでの生産性ではないでしょうか?

買い手の効用マップ

一方、「☓」が記入されるのはどこでしょうか?

それは、同じ介護ロボットでも見守り機器なのか、装着型の移乗介助機器なのかなどによって異なるかと思います。残念ながらあちこちに☓が付くのではないでしょうか?

そのように、個々のテコにおいて最大の障害は何か、顧客経験の各ステージでその障害をもたらす要因が何かを考えてみましょう。

誰にも気づいていなかった苦痛、あるいは、現状の競争ルールのもとでライバルを打ち負かすことに躍起になっていたせいで、業界があえて見過ごしていた苦痛を見つけてみて下さい。

【無料】でお届け!

3大特典+ボーナス

1.レポート
2.割引キャンペーン
3.コラム案内

詳細はこちら

介護現場の生産性向上

介護現場の生産性向上

介護現場の生産性向上に取り組む方に抜き刷(冊子)をお届け!

詳細はこちら

介護サービス事業者向け「PDCA ✕ 業務標準化」実践セミナー

3点について学ぶ介護事業者向けセミナー
・PDCAのまわし方
・業務の標準化
・目標設定

介護ロボット市場開拓のマーケテイング

【No.37】介護ロボットの普及は「見える化」が解決してくれる
【No.36】介護ロボットの普及・市場開拓のブレイクスルー
【No.35】介護ロボットの買い手の効用を妨げているものは?
【No.34】平成31年度の補助金は早期争奪戦か?
【No.33】介護ロボットはキャズムを越えられるか?
【No.32】産業用と異なるからこそ必要なこと
【No.31】介護ロボット販売で先にやるべきこと
【No.30】成功への第一歩はメニューに載ること?
【No.29】 過去のターニングポイントと面白い取り組み
【No.28】 平成30年度の介護ロボット予算で気付いたことは…
【No.27】ロボット活用に向けた施策で最も重要なことは…
【No.26】市場開拓にレバレッジが効く「1対N」のアプローチ
【No.25】介護ロボット市場の開拓にも必要なユーザー教育
【No,24】誰が介護ロボット市場を制するか?
【No.23】介護ロボット代理店の苦労
【No.22】ロボットビジネスのセグメント化
【No.21】「ニーズの違い(バラツキ)」とイベント企画
【No.20】施設が補助金に飛びつく前にやるべきこと
【No.19】施設にとってロボットの導入で最も重要なことは?
【No.18】ロボットをロボットとして見ているだけでは?
【No.17】ロボット市場への参入は凶と出るか吉と出るか?
【No.16】ロボットセミナーの開催で判明した顧客のニーズ
【No.15】潜在顧客から見た見守りロボット
【No.14】介護ロボットは6年前より増えたが、その一方【No.13】見守りロボットは是か非か?
【No.12】介護ロボットを活用する直接的なメリット
【No.11】ロボットに頼らない活用方法は?
【No.10】施設の介護ロボット選定の実態は?
【No.9】介護ロボット市場の開拓には?
【No.8】補助金政策による光と影
【No.7】補助金のメリットとデメリットは?
【No.6】自治体支援策の特徴は?
【No.5】ハードだけではなく、ソフト面も必要では?
【No.4】介護現場にロボットを導入するための要件は?
【No.3】なぜ、「普及はまだまだ!」なの
【No.2】介護ロボットの認知度は飛躍的に高まったが
【No.1】介護ロボットの普及を電子カルテと比べると