ところでなぜ、介護ロボットを導入するのでしょうか? なぜ、ロボットやICTなどの新しいツールが必要なのでしょうか?

  • 利用者さんに満足してもらいたい!
  • 利用者さんの自立支援を図りたい!

  • 介護の質を向上させたい!

  • 職員の身体的負担を軽減させてあげたい!

  • 人手不足解消の解決策として!

このような理由から意気込んで導入を検討するはずです。しかし、3カ月・半年・1年と時間の経過と共に、積極的に活用するどころか、逆に使われなくなってしまうケースが少なくないのです。

お金の問題さえ解決すれば「導入すること」は容易です。しかし「活用し続けること」は意外と難しいのです。

 

そこで、まずは「介護ロボットを導入しても上手くいかない例(介護ロボット導入の努力事例)」および「介護ロボット導入の好事例」を紹介します。

「介護ロボットを導入しても上手くいかない事例(介護ロボット導入の努力事例)」を次の通り3つ紹介します。詳細は事例のタイトルをクリックしてみてください。

次に「介護ロボット導入の好事例」を紹介します。詳細は事例のタイトルをクリックしてみてください。

介護ロボットの導入に際し「よくある間違い」は次の通りです。

介護ロボットの活用はある目的を達成する(課題を解決する)ための手段にすぎないはずです。ところが、導入することが目的になってしまうケースが少なくないのです。

例えば、補助金制度を利用する場合などでは「導入すること」や「使うこと」が目的になってしまうことがよくあります。

これは使い手である介護施設に限らず、行政などの支援側にもよく見られることです。計画した事業を年度内に遂行するために、施設に対して「介護ロボットを導入させること」「使ってもらうこと」が目的になってしまうのです。

これは「手段と目的を履き違える」ことの結果として起こることです。導入することが目的になってしまうためモノ選びから入ってしまうのです。いきなりモノ選びを行ってしまうのです。

原因は、ロボットを持っていれば、何かしらの行為ができ、何かしらの状態になれることができるという順番で物事を捉えてしまっているからです。

目標の達成に向けて組織(施設)のスキルを高めようとするのではなく、リソース(この場合、ロボット)さえあれば成功できる、と考えてしまうのです。つまり、自分が能力のある人間になるのではなく、リソースさえあれば成功できると考え、リソースを探し求めてしまうことと同じです。

事実、補助金制度を利用する際には、先にモノ選びを行い、後にそれを正当化するために機器の機能にあわせて目的や目標をつくろうことがよく見られます。

これは、個人の場合と全く同じです。施設としての「方向性」「あるべき姿」「あり方」などがハッキリしていないと、次から次に登場してくる技術や行政の補助金制度などに振り回されてしまいます。

 「方向性」「あるべき姿」「あり方」などが明確になっていれば、新しいテクノロジーの登場や補助金制度の案内などの機会をチャンスとして上手に活用すれば良いのです。ところが、はっきりしていないと、それらに飛びつき振り回されてしまうだけ。振り回されてしまうと職員が気の毒です。

単発的な購入を繰り返している

これは「方向性」「あるべき姿」「あり方」などが明確になっておらず、「振り回されてしまう」から起こることです。

少し話は逸れますが、ダメな会社に見られるマーケティングは、チラシを配る、新聞広告を出す、展示会に出展するなどと予算内で単発的なイベントの組み合わせをしているだけ。効果的なマーケティングを行うためには、自社の戦略に従ってマーケティングプロセスを明確にして、測定しながら継続的に改善していくことです。

実は介護施設におけるロボットやICTの購入も同じです。つまり、「県から補助金が出る」などの情報に踊らされながら、予算内で単発的な購入をあれこれと繰り返すのではなく、ロボットやICTの購入を一連の「業務プロセスの改善活動」として考えるのです。

試行錯誤しながら単年度単位で打ち出してくる行政の施策に振り回されながら、自らも試行錯誤しながら導入を行うのではなく、「あるべき姿」への達成に向けて施設内の業務を改善していくプロセスを確立するのです。

その上で行政の支援策を上手に活用しながら導入していけば良いのです。

在宅であれば、個人(家族)が「これが良い!」と判断すれば、それが(その家庭内では)正しいことになります。機能面がどんなに優れた製品でも「私はまだ80歳なのに、そのデザインではまるで90歳のおばあさん向けだ!」などと、使用する本人(個人)から拒絶されたらそれまで。

また、本人や家族に経済力があれば、高い買い物でも、その価値さえ認めれば価格はあまり気にならないはず。

時間に余裕があれば、身内の人とおしゃべりしながら、あるいは一緒にテレビをみながらノンビリと移乗介助をしても構わないのです。

在宅の場合、全ては個人次第なのです。

一方、施設という組織の中には多数の職員がいて、価値観・考え方などが人によってマチマチ。しかも資金や人員などに制限がある中、一定範囲内の人員で時間内にあらゆる事に対応しなければなりません。

だから、異なる価値観や考えを持つ職員との間で、活用する「目的」や「目標」を共有しない限り、それぞれが好き勝手なことを主張し、バラバラに動き出し、途中で頓挫する原因になるのです。

また、利用者さんやその家族から賛同を得る必要もあり、そのような調整も重要になるのです。

「組織の中で」介護ロボットを上手に導入・活用するために必要なことは、2階建ての図を使って説明することができます。

2階部分は「機種別のノウハウ」となります。ここには「機能の理解」「操作方法の習得」「活用方法の理解」「対象者(利用者)の選定」など機種別に求められることが該当します。殆どの人はこの2階部分だけに注目します。

もう1つが1階部分の「全機種に共通のスキル」となります。これはロボット(機種)を導入し、活用していくに際し、機種に関係なく共通して求められる「土台」となります。

2階部分のロボット機種別の「機能の理解」や「操作方法の習得」は重要ですが、実は1階部分(土台づくり)の強化が2階部分の「機種別のノウハウ」を活かすことになるのです。

土台が脆弱だと、一時的に見せ物のように使うことは容易でも、組織の中で上手に、かつ継続的に活用することが難しいのです。ロボットやICTの活用に限らず、新しい「取り組み」や「決めごと」が組織の中へ浸透していかないのです。

組織(施設)の中でロボットを上手に活用するためには土台の強化が必要なのですが、これには明確な目標を掲げ、それを職員たちと共有することが求められます。また目標の実現に向けて、体制をつくり、計画したことを実行に移すことが求められます。

そこで1階部分に必要なスキルをもう少し分解すると、次の通りとなります。

  • 介護業務(オペレーション)の構築
  • プロジェクトマネジメント

介護業務(オペレーション)は、介護職員とロボットやICTなどによって支えられた業務連鎖です。「介護業務(オペレーション)の構築」は、今の「仕事のやり方」をより良くするために必要なのです。

 施設全体を見渡し、ムリ・ムダ・ムラなく一連の流れを、もっと楽に、もっと速く、もっと正確に、もっと安全に行えるよう、業務の流れを見直すことです。

それには、5Sと呼ばれる整理、整頓、清掃、清潔、習慣化(躾)を行うだけではなく、業務プロセスを改善するスキルが求められます。

業務の中には、人手で行うよりもツールを使った方が良いプロセス(業務)があります。それを見極め、そこにロボットやICTを上手に導入・活用しながら新しいオペレーションを構築していくのです。

またプロジェクトマネジメントは、上に書いたように、目標を決めて、そこへ到達するために、チーム(関係職員)をまとめ上げ、問題解決→ゴールへと導くために必要なスキルとなります。

先に述べた介護業務(オペレーション)の構築を行っていくためには、プロジェクトマネジメントのスキルが必要なのです。

なお、この1階部分には、マインド面も含まれます。なぜなら働いている人たちが「業務をよくしよう」といった前向きの気持ちから行動を取らない限り、何も変わらないからです。

今後、AIIoTの普及が本格化します。ロボットもAI搭載でロボット同士がつながる(コネクトする)時代を迎えます。

だからこそ福祉用具の延長の発想で、単なるツールとして「点」のごとく局所的な成果を狙うだけではなく、もっと広い視点から(つまり「面」のごとくあらゆる側面から)活用方法を工夫してみるべきなのです。

 

なお、上述の「土台づくり」についてもう少し詳しく知りたい介護施設の方はは下記の「特別レポート」に登録してみてください。

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【No.17】ロボット市場への参入は凶と出るか吉と出るか?
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