なぜ、介護ロボットを導入するのでしょうか?
なぜ、介護現場にロボットやICTなどの新しいツールが必要なのでしょうか?
利用者さんの自立支援を図りたい!
介護の質を向上させたい!
職員の身体的負担を軽減させてあげたい!
人手不足解消の解決策として!
「導入しても上手くいかない事例(介護ロボット導入の努力事例)」を次の通り3つ紹介します。詳細は事例のタイトルをクリックしてみてください。
次に「導入の好事例」を紹介します。詳細は事例のタイトルをクリックしてみてください。
ロボットやICTの導入に際し、見過ごされがちな「よくある間違い」について、次の通り紹介します。
介護ロボットの活用はある目的を達成する(課題を解決する)ための手段の一つにすぎないのです。ところが、導入することが目的になってしまうケースが少なくないのです。
例えば、補助金制度を利用しようとするあまり、「導入すること」や「使うこと」が目的になってしまうことがよくあります。
似たようなことは、介護施設に限らず、行政側の対応にもよく見られます。
予算計上した事業を年度内に遂行するために、施設に対して(無理にでも)「導入させること」「使ってもらうこと」が目的になってしまうのです。
これは「手段と目的を履き違える」ことの結果として起こることです。導入することが目的になってしまうため、モノ選びから入ってしまうのです。いきなりモノ選びを行ってしまうのです。
原因は、ロボットやICTさえあれば、何かしらの「行為」ができ、何かしらの「状態」になれるという順番で物事を捉えてしまうからです。これでは順番が逆なのです。
本来なら、「どういう状態になりたいか?」を決めることが先決です。その上で、何を行うべきかという「行為」を検討し、モノ選びはそのための手段として最後に行うことです。
ところが、補助金制度を利用するために、先にモノ選びを行って、後にそれを正当化するために、機器の機能にあわせて課題をあぶり出す、あるいは、目的や目標をつくろうことがよく見られます。
これは、施設としての「方向性」「あるべき姿」「あり方」などがハッキリしていないために、次から次へと登場してくる技術や行政の補助金制度など、新たな情報に振り回されてしまうことです。
「方向性」「あるべき姿」「あり方」などが明確になっていれば、新しいテクノロジーの登場や補助金制度などを絶好のチャンスとして上手に活用することができるのです。ところが、はっきりしていないと翻弄されてしまうのです。
これは「方向性」「あるべき姿」「あり方」などが明確になっておらず、「振り回されてしまう」から起こることです。
少し話は逸れますが、ダメな会社に見られるマーケティングは、チラシを配る、新聞広告を出す、展示会に出展するなどと予算内で単発的なイベントを組み合わせるだけです。
本来なら、効果的なマーケティングを行うために、自社の戦略に従ってマーケティングプロセスを明確にして、測定しながら継続的に改善していくべきではなのです。
実は介護施設におけるロボットやICTの購入も同じです。
つまり、「県から補助金が出る」などという情報に踊らされながら、(予算や補助金の範囲内で)単発的な購入を繰り返すのではなく、ロボットやICTの購入を一連の「業務プロセスの改善活動」として考えた方が良いのではないでしょうか?
試行錯誤しながら単年度単位で打ち出してくる行政の施策に振り回され、試行錯誤しながら導入を行うのではなく、「あるべき姿」への達成に向けて施設内の業務を改善していくプロセスを確立すべきです。
その上で行政の支援策を上手に活用していけば良いのです。
在宅であれば、個人(家族)が「これが良い!」と判断すれば、それが(その家庭内では)正しいことになります。
機能面がどんなに優れた製品でも「私はまだ80歳なのに、これは90代のおばあさん向けのデザインだ!」「これでは外で使えない!」などと、使用する本人(個人)から拒絶されたらそれまで。
また、本人や家族に経済力があれば、高い買い物でも、その価値さえ認めてしまえば価格はあまり気になりません。
さらに、時間に余裕がある人には「生産性」という言葉は関係ありません。身内とおしゃべりしながら、あるいは一緒にテレビをみながらノンビリと移乗介助をする方法でも構わないのです。
在宅の場合、全てが個人次第なのです。
一方、施設という組織の中には多数の職員がいて、価値観・考え方などが人によってマチマチです。
しかも資金や人員などに制約がある中、限られた人員で時間内にあらゆる事に対応しなければなりません。
だから、異なる価値観や考えを持つ職員との間で、あらかじめ活用する「目的」や「目標」を共有しておくことが非常に重要です。さもないと、それぞれが好き勝手なことを主張し、バラバラに動き出し、職員の間で争い事が起こるかもしれません。これでは企画(ロボットの活用)が途中で頓挫してしまいます。
このような失敗例は、介護施設に限らず、一般の大きな会社にも見られることです。一見すると些細なことなのですが、とても重要です。
また、利用者さんやその家族から賛同を得る必要もあります。このような調整も重要になるのです。
「組織の中で」介護ロボットを上手に導入・活用するために必要なことは、2階建ての図を使って説明することができます。
2階部分は「機種別のノウハウ」となります。ここには「機能の理解」「操作方法の習得」「活用方法の理解」「対象者(利用者)の選定」など機種別に求められることが該当します。殆どの人はこの2階部分だけに注目します。
もう1つが1階部分の「全機種に共通のスキル」となります。これはロボット(機種)を導入し、活用していくに際し、機種に関係なく共通して求められる「土台」なのです。
2階部分のロボット機種別の「機能の理解」や「操作方法の習得」は重要ですが、実は1階部分(土台づくり)の強化が2階部分の「機種別のノウハウ」を最大限に活かすことになるのです。
土台が脆弱だと、一時的に使うことは容易かもしれませんが、組織の中で上手に、かつ継続的に活用していくことが難しくなりがちです。
ロボットやICTの活用に限らず、新しい「取り組み」や「決めごと」が組織の中へ浸透していかないのです。
組織(施設)の中でロボットを上手に活用するためには土台の強化が必要となりますが、これには明確な目標を掲げ、それを職員たちと共有することが求められます。
また目標の実現に向けて、体制をつくり、計画したことを実行に移していくことが求められます。
そこで1階部分に必要なスキルをもう少し分解すると、次の通りになると考えています。
介護業務(オペレーション)は、介護職員とロボットやICTなどによって支えられた業務連鎖です。「介護業務(オペレーション)の構築」は、今の「仕事のやり方」をより良くするために必要なことです。
施設全体を見渡し、ムリ・ムダ・ムラなく一連の流れを、もっと楽に、もっと速く、もっと正確に、もっと安全に行えるよう、業務の流れを見直すことです。
それには「5S」と呼ばれる整理、整頓、清掃、清潔、習慣化(躾)を行うだけではなく、業務プロセスを改善するスキルが求められます。
業務の中には、人手で行うよりツールを使った方が良いプロセス(業務)があります。それを見極め、そこ(業務プロセスの一部)にロボットやICTを上手に導入・活用しながら新しいオペレーションを構築していくのです。
またプロジェクトマネジメントは、上に書いたように、目標を設定し、そこへ到達するために、チーム(関係職員)をまとめ上げ、問題解決→ゴールへと導くために必要なスキルとなります。
先に述べた介護業務(オペレーション)の構築を行っていくためには、プロジェクトマネジメントのスキルが必要となります。
なお、この1階部分には、マインド面も含まれます。なぜなら働いている人たちが「ウチの業務をよくしていこう」といった前向きの気持ちからアクションを起こさない限り、何も変わらないからです。
今後、AIやIoTの普及が本格化します。ロボットもAI搭載でロボット同士がつながる(コネクトする)時代を迎えます。
難しく表現すると、ロボットの活用がこれまでのスタンドアローンからネットワーク化していくということ。
だからこそ福祉用具の延長の発想で、単なるツールとして「点」のごとく局所的な成果を狙うだけではなく、もっと広い視点から(つまり「面」のごとくあらゆる側面から)活用方法を工夫すべきでは?
なお、上述の「土台づくり」についてもう少し詳しく知りたい介護施設の方は、下記の「特別レポート」に登録してみてください。
まもなく公開予定です(近日公開)